有機系5色素(紅麹等)のアルカリpHによる色の変化、石けんを着色成功(更新)!!

有機系5色素(紅麹等)のアルカリpHによる色の変化、石けんを着色成功(更新)!!
食べ物に使う有機系色素を石けん作りに使うとどうなるか?

結論;高濃度の色素であれば、有機系色素でも着色できた。

低濃度色素ではどれにしても得られる石けんは黄色からオレンジ(米ぬか油の色)で色素の色は出ない。

まずは、色素をご紹介しよう。

H260611 5色素 横から

 

右から

赤:紅麹 (麹菌が作る赤)

ベニコウジカビ – Wikipedia 赤いhttp://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%82%B8%E3%82%AB%E3%83%93 …

青:スピルリナ(藻の青)

スピルリナ – Wikipedia 青いhttp://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%8A …

黄:クチナシ(植物クチナシの黄色)

キリヤ:クチナシ 黄 黄色 http://www.kiriya-chem.co.jp/tennen/kuchinasi.html
赤:ハイビスカス(植物ハイビスカスの赤、抽出から数時間後のもの)
アントシアニン系色素 – http://cse.osaka-kyoiku.ac.jp/kyozai/junior_high_school/411.html

緑がかった紫(植物の青、抽出から数時間後のもの、酸性ではピンク)
マローブルー http://www.osaka-c.ed.jp/kate/rika1/kenkyuu-kyouzai/kagaku/jikkensyo-kagaku/mallow-blue.pdf

これらを

pH試験紙で調べたら
ハイビスカスだけが酸性。他は中性でした。

H260611 5色素 上から

紙コップに10CCほど移して、上から写真を撮りました。
右から
紅麹
スピルリナ
クチナシ
ハイビスカス
マローブルー

これに苛性ソーダ水をティースプーンでおよそ3CCほど加えました。
苛性ソーダ水は15グラムの苛性ソーダを20グラムの水に溶かして
およそ42%の濃度の苛性ソーダ水です。

すると一部、色が変化しました。H260611 5色素 苛性ソーダ後 上から

並び方は上と同じで
右から
紅麹
スピルリナ
クチナシ
ハイビスカス
マローブルー

すべてアルカリでpHは14です。
紅麹は、     赤からオレンジへ。
スピルリナは、 青が透明に。
クチナシは、   黄色で変わらず。
ハイビスカスは、赤から茶色に。
マローブルーは、紫から黄色へ。

以上のように変化しました。

紅麹は、非アントシアニン系色素。

スピルリナはフィコシアニン系色素。

クチナシ系黄色素は、中性からアルカリ性で、黄色で安定。

ハイビスカスはクエン酸が出て酸性になるアントシアニン系。

マローブルーはアントシアニン系だが、水道水と精製水でも色が異なる。

これを踏まえて
米ぬか油石けんを作りました。

米ぬか油    200
ラード     60
ココナツオイル 40
精製水     57.8
苛性ソーダ   38.5
色素水   5.5を6セット
(グラム)

としました。
オイルと40%苛性ソーダ水を6分割して、
色素水は、上記色素水5.5グラムをそれぞれオイル50グラムと40%苛性ソーダ16グラムに加えました。

混ぜる順序は、40%苛性ソーダ水に色素水を直接混ぜました。

けん化は、40度で、行いましたが、非常にトレースの出る粘性状態になりやすかったです。

けん化時間はおよそ20分でトレースが完全に出ます。

色素を入れずにスキムミルクを入れたものも作りましたが、
同様に、非常にトレースが早く、米ぬか油の特性だと思われました。

それ以外にもちょっと濃い苛性ソーダ水を使って、けん化初期に攪拌は不十分だったことも
けん化の進み方に影響していそうだと思いました。

H260611 5色素 石けん 苛性ソーダ後 上から

右から
紅麹
スピルリナ
クチナシ
ハイビスカス
マローブルー
ですが、色がまったく現れません。
苛性ソーダ水でも色は消えていないのに、

石けんにすると色がつかないのは、
色素濃度が薄かったせいもあると考えました。

オリーブオイル系で紅麹を高濃度で添加して再挑戦しました。
結論:色素のアルカリ側の色を持った石鹸が得られました。

20140612_051132147_iOS

使った紅麹は、
0.1グラムを5グラムの水に溶きました。
上写真のように非常に高濃度の色素液です。

これをオリーブオイル系の混合オイルに40%苛性ソーダ水を先に加えて、
けん化開始1分後に、色素液を単独で加えました。
直後は、赤が鮮やかに残りますが、
撹拌すると、オレンジ色になります。
さらに撹拌を続けるとオレンジ色は薄くなっていきます。

石鹸に色がくっきりついています。
着色の成功です。

結論

石鹸の着色は、有機色素のアルカリ側の色に着色できる。

けん化速度は、オリーブオイル系より米ぬか油系がはやい。

20140612_064435746_iOS
紅麹(べにこうじ)で着色したオリーブオイル石鹸は
上の写真のようにオレンジ色になります。

けん化の化学と反応速度

けん化の化学を調べていくうちに反応速度の箇所に気づいた。

dx/dt=k(a-x)(b-X)=v

a,bははじめに入れる材料の濃度、Xは石鹸の濃度、tが反応時間。

という式だ。反応速度vは反応が進むにつれて遅くなっていきます。

石鹸のでき方は、最初は少しずつ、途中で一気に進み、最後はまたゆっくり出来上がる。

これを図に示すと、図のように、石鹸は途中で急激に立ち上がり、

その時に反応速度は一気に遅くなっていきます。

某大学の実験では、温度を変えて石鹸のできた割合を測定して反応速度係数や反応の活性化エネルギーを求めていました。
いわゆる指数関数的に反応が進むんです。

始めは反応速度は速いものの、反応生成物の石鹸は少ないです。

ある点から指数関数的に急激に進み石鹸がたくさんできる時点があります。

その後反応速度は急激に遅くなり、ゆっくり止まっていき、

長い時間をかけて熟成されるように鹼化が完了する。

そんな反応です。

鹼化を速くするには、

1)濃度を濃くすること、

2)温度を高くする

3)よくかき混ぜる

4)触媒を入れる

が挙げられます。

油はともかく、

苛性ソーダは水で溶かさないと、ダマになってしまって反応しないで残って大変危険です。

濃すぎる苛性ソーダ水を作らないようにしましょう。

30%重量濃度ぐらいでしょうか。

水70グラムに苛性ソーダ30グラムが最大ぐらいでしょう。

温度を上げると分子の動きが大きくなり、ミクロ的にかき混ぜるのと同じ効果があります。

かき混ぜれば、苛性ソーダと油脂の分子が何回も出会う回数が増えて

反応速度があがります。

ただし、60℃以上に上げると、油脂の分解や酸化反応があるので、

温度の上げ過ぎは注意です。

それ以外に、触媒として、

アルコールの添加などが知られています。

これは反応が進みやすくなる性質があるものを加えて速度をあげる方法です。

本格的に反応速度を考えるなら、

温度を40度、60度の2種類の作り方を比較します。

それぞれ、数分毎に作った未完成の石鹸の中のアルカリの量を滴定で測ります。

同じ濃度のクエン酸などを加えて、中性になるまでのクエン酸の量から、

未反応のアルカリの量を推計します。

時間tにおけるエステル濃度、アルカリ濃度ならびに反応速度定数k を求め、表にまとめる。

縦軸に log k を,横軸に 1000/T(温度)を取ると直線関係がある。

反応速度係数は、温度を上げると上がる。

酢酸エステルのけん化では、

鹼化の活性化エネルギーEaはおよそ59.1 kJ/mol

程度のようです。

室温から50℃までの反応速度係数は、

20℃;   k’=A exp(-Ea/293R)=0.002

30℃;   k’=A exp(-Ea/303R)=0.005

40℃;   k’=A exp(-Ea/313R)=0.010

50℃;   k’=A exp(-Ea/323R)=0.022

つまり、40℃と50℃では、10度上がると反応速度は2倍ほど上がる計算です。

活性化エネルギーが大きいほど、温度が上がったときの影響が大きいです。

ここで、

パーム油のけん化では、

Ea=3~5kcal/mol

という値が出ています。

これは、

1 J= 約 0.239 cal(カロリー)で換算すると、

4kcal=16.7kJ/molです。

先述のEa=59.1 kJは 14.1kcal計算できます。

つまり、パーム油の方が、酢酸エステルより活性化エネルギーが小さく、

反応速度は遅いです。

(上記記事は、http://326.nobody.jp/ouka1/reaction_rate.htm を参考にしています)

(上記記事は、kurepo.clib.kindai.ac.jp/modules/xoonips/download.php?file_id=8106も参考にしています)

E= 17 kJ・mol の場合、

K40/K50=exp{-17/8.31 *(1/323-1/313)}
=約1.2
(上記記事は、http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/support/cgbukka_pdf/11.pdfも参考にしています)

40℃と50℃では反応速度はおよそ1.2倍になる計算です。

(以下の記述は、

http://kumaguma-soap.blog.so-net.ne.jp/2008-09-06を参考にしています)

ヨウ素価と鹸化速度恒数 (McBain and Kawakami, J. Phys. Chem. Soc., 1929, 2185)

速度恒数が大きいほど反応が速いということです。
およそヨウ素価が大きいほど反応の速さは遅いことが示されています。

ヨウ素価とは油脂中に不飽和結合がどのくらいあるかを示す値です。

つまり不飽和脂肪酸が多い油は反応が遅いと考えても差し支えありません。

牛脂、ラード、パーム油など植物脂は、ヨウ素価が低いものが多く、

けん化速度は速いです。

逆に大豆油、オリーブ油などヨウ素価の高いものは、不飽和脂肪酸が多く、

鹼化反応速度が遅いです。

以上のように温度など反応条件だけでなく、

油の種類による速度の違いもあります。

温度と、油のヨウ素価が重要な要素です。

それ以外にもこめ油(米ぬか油)は不純物が数パーセント含まれており、

そのため、非常に鹼化がはやいです。

反応速度は、経験で掴んだものを整理すると以上のようになります。