Dyを使わずにNd-Fe-B磁石の保磁力を高める方法(Nd-Cu拡散法)

概要
従来のネオジム磁石のジスプロシウム量を削減する有効な方法としては、磁石の表面からジスプロシウムを結晶と結晶の界面(結晶粒界)に沿って拡散させる方法がある。結晶粒界部分のネオジムだけをジスプロシウムで置換することにより、必要なジスプロシウム量を大幅に減らすことができる。この拡散法では結晶粒界部分にジスプロシウムなどの重希土類元素を使う必要があると考えられていた。本研究では、結晶粒間の磁気的な結合を切ることにより、保磁力を強化できるという発想から、融点の低いネオジム銅合金を結晶粒界に沿って拡散させ、結晶粒界のネオジム組成を改善する方法を提案した。それにより、ジスプロシウムを全く使わずに保磁力を20キロエルステッドまで高めることが可能であることを見出した(従来は12キロエルステッド程度)。 本研究は焼結磁石よりも約一桁微細な結晶粒径を持つHDDR法による磁粉に適用され、250ナノメートル程度の微細結晶粒の磁気的孤立化による高保磁力の発現を実証したものである。

研究の背景
磁石材料には酸化物系のフェライト磁石や合金系のアルニコ磁石など、さまざまな種類があるが、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)やハードディスクドライブ(HDD)のモータでは高価でも高性能なネオジム磁石を使う必要がある。特にハイブリッド車や電気自動車は希土類金属(レアアース)を大量に使用するが、90%以上のレアアースが中国で生産され、輸出量が制限されているために、レアアースの安定供給が懸念されはじめている。ハイブリッド車ではモータの動作により磁石の温度が200°C程度になるので、ネオジム(Neodymium、以下Nd)、鉄(Fe)、硼素(B)の3元素からできるNd-Fe-B系磁石では「保磁力」とよばれる磁石特性が温度の上昇とともに低下してハイブリッド車の駆動モータに使えない。このためNdの40%をジスプロシウム(Dy)で置き換えた、Dy含有Nd-Fe-B系磁石が使われている。ところがDyは地球上の存在比がNdの10%程度であり、90%以上が中国で産出されている。このような事情から大量供給の必要のある磁石ではDy量を少なくとも10%以下に削減することが求められている。Dy量を削減する方法として有効なのが、磁石の表面からDyやテルビウム(Terbium、以下Tb)を結晶と結晶の界面(結晶粒界)に沿って拡散させて、結晶粒界の保磁力を強化する拡散法がある。これによって、Nd-Fe-B系磁石全体のNdをDyで置換するのではなく、結晶粒界部分のNdだけををDyやTbで置換して、焼結磁石の保磁力を向上させるのに必要なDy量を削減することができる。しかし、このような拡散法では、依然としてDyやTbなどの重希土類元素を使うことが必要である。

以上、引用。

磁石は結晶構造で決まる。

焼結はセラミックではよく研究されている。

一方、HDDなどの磁気記録は、めっきやスパッタリングという薄膜法で高度に結晶構造を制御している。

モーター向け磁石は結晶粒子が大きい。これに高い飽和磁化力を出している。

保磁力は高熱で弱くなってしまう。モーターは200℃程度で稼働する。

このとき、NdにDyを混ぜると保磁力が上がるが、レアメタルだから使いたくない。

そこで銅を混ぜてみた。

すると、非磁性の銅が磁石の結晶同士の連結を切って、一斉に磁石の向きが変わるという保磁力の弱さを打消してくれた。

厚膜磁石には「めっき」が向いてると思う。

ホウ素、リンや硫黄なども入れ放題だし、細かな制御も実績がある。

銅Cuを入れて保磁力を上げるなんて、不思議だ。酸化しやすい安い非磁性金属で候補になったのかな。

Nd-Fe-B 焼結磁石の保磁力減少率の配向度依存性と保磁力メカニズム

Relation between Nd2Fe14B Grain Alignment and Coercive Force Decrease Ratio in Nd-Fe-B Sintered Magnets

● Key Word:Nd-Fe-B 焼結磁石,保磁力,配向 ● Production Code:Nd-Fe-B magnet ● R&D Stage:Research 北井 伸幸 * Nobuyuki Kitai 松浦 裕 * Yutaka Matsuura 石井 倫太郎 * Rintaro Ishii

棗田 充俊 * Mitsutoshi Natsumeda 星島 順 * Jun Hoshijima 日立金属技報 Vol. 30(2014) 21

http://www.hitachi-metals.co.jp/rad/pdf/2014/vol30_r03.pdf#search=’NdFeB’

これまでの Nd-Fe-B 焼結磁石の保磁力(HcJ)モデルは, 磁性相である Nd2Fe14B 結晶粒の周囲を非磁性と考えられ ている Nd-rich 相が取り巻いているため結晶粒は磁気的に 孤立しているとし,結晶粒内には磁壁を止める機構は存在 していないという考えに基づいており,HcJ の角度依存性の 実験データを基に理論の検証がなされている。

Kronmuller らは回転磁化モデル(S-W モ デ ル : Stoner-Wohlfarth Model)をベースとした,Nd-Fe-B 焼結磁石の主相である  Nd-Fe-B 焼結磁石の保磁力は,Nd2Fe14B 結晶粒の配向度が向上するにしたがい減少する。完 全配向した磁石の保磁力を外挿により求めると等方性磁石の保磁力の約 0.7 倍となる。

これは保磁 力のメカニズムとしては回転磁化モデルより磁壁移動モデルが適切であることを示している。

そこで 電子線後方散乱回折法(EBSD)により Nd-Fe-B 焼結磁石中の Nd2Fe14B 結晶粒の配向分布を測 定し,その結果から磁壁移動モデルに基づき配向度と保磁力減少率を計算した。磁気特性測定によ る実測値と比較すると,配向度は良く一致したが,保磁力減少率は大きく異なった。

この原因につい て考察した。 Nd-Fe-B 焼結磁石の保磁力減少率の配向度依存性と保磁力メカニズム Nd2Fe14B 結晶粒界近傍の結晶磁気異方性の弱い部分に逆 磁区が発生し結晶全体に広がるとする核生成モデル (Nucleation model)を提唱している 2)。

また Givord らに よる熱揺らぎに関係する活性化体積から発生する磁化反転 核生成 3),4)

と結晶粒内の磁化反転核の侵入,すなわち磁 壁の粒内への移動により磁化反転が進むという磁壁移動モ デル(D-M モデル : Magnetic Domain Wall Motion Model) により説明が試みられてきた。

しかし,これらのモデルを 用い Nd2Fe14B 結晶粒の配向分布関数を考慮して計算して も,Nd-Fe-B 焼結磁石の HcJ の角度依存性すら十分な説明 ができず,保磁力のメカニズムはいまだ解明されていない のが現状である。

Gao らは Givord らの磁化反転核に近い考えを提案し, Nd-Fe-B 焼結磁石の保磁力の配向度依存性を検討した 5)。

しかし彼らは磁石の保磁力をすべての結晶粒の保磁力の平 均値と定義しており,保磁力の配向度依存性の説明も十分 ではない。

以上、引用。

解説を解説しちゃう。

結晶の向きをそろえると、保磁力は低下しちゃう。向きをそろえた方が磁石は強くなるけど、簡単に磁石の磁極が反転してしまうらしい。

結晶の大きさを小さくすると、保磁力が大きくなる。これは結晶が小さいと周りの粒子界面の影響を受けるからかな。

一つの粒子が反転すると隣も隣もドミノ的に反転していくようだから、粒子同士の相互作用を切ることが保磁力アップに大事だな。

一個の粒子のなかで磁極反転は磁壁で説明できる。磁壁の動きは結晶内の歪や不純物でも滞るから、保磁力を大きくするには不純物や歪をたくさん入れた方がよいのかな。

配向性と粒子径と粒径分布ってめっきのHDDでは当たり前すぎる。

それぞれを制御するのは当然。そのうえで不純物や粒子界面をどう設計するかがキーテクノロジなんです。

モーター磁石屋さんは磁気記録磁石屋さんより30年ぐらい遅れてるような印象だわ。

保持力を高めるのが、目標なのか。熱安定性だな。

熱安定性なら、変わる部分と磁極を保持する層を分けて二層構造にするとかめっきではよく知られた方法です。

ある程度のNdFeB磁石を作って熱安定性と結晶構造を調べたいね。

結晶層は、磁性相、非磁性相、粒界相、三重点相、などいろいろ調べたいよね。

断面でも平面でも観察して。

最終的には、めっきでS硫黄 Bホウ素 Pリン Cカーボン Cu銅 Niニッケル ここいらを入れたいね。

ようするに粒のそろった大きな粒子を、方向をそろえて作って、なおかつ保磁力が大きい。これが理想なんじゃないの。

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