石鹸の化学(反応速度論)
木陽塾

1、 油脂の種類
・油脂の分子構造

・油脂と脂肪酸の分子構造

・飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
オレイン酸(二重結合が一つで炭素が18個)

・油脂の酸化・・・乾性油、半乾性油、不乾性油

動植物油類
よう素価
自然発火
固化
不飽和脂肪酸
乾性油

発火しやすい
固化しやすい

半乾性油








不乾性油

発火しにくい
固化しにくい

・けん化価
油脂1gをけん化するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数をけん化価という。
油脂1molをけん化するのに水酸化カリウムが3mol必要であるので、油脂の分子量をMとすると、M(g)の油脂をけん化するのに水酸化カリウム(KOH=56)が3×56(g)必要ということになる。したがって、1(g)の油脂をけん化する水酸化カリウムの質量は
けん化価をSとすると、次の比例式で求められる

M(g) : 3×56×1000(ミリグラム) = 1(g) : S(ミリグラム)
上記の式から、油脂の分子量(M)が分かっていればけん化価(S)を求める事ができるし、逆にけん化価(S)が分かっていれば、油脂の分子量(M)を求めることもできる。
けん化価が大きい油脂ほど分子量は小さくなる。けん化価(KOHでの値)で250から180程度の油脂が多い。
INS値⇒油脂のヨウ素価とけん化価から決まる値(Iodin’n Saponification Value)

INS値が米国で広まったのは、Dr. Robert S. McDanielの本「Essentially
Soap」によります。オイルの配合を決める場合に、INSを160に近づけるようにすると、硬さやその他の物性値が理想に近づくということも考慮してみてはどうか、と書かれています。

INS値=鹸化価 - ヨウ素価
INS値が140から160に近いときを単純に考えると、
けん化価(KOHでの値)で250から180程度の油脂が多いので、ヨウ素価が20から110程度で取りうる。

パーム核油(ヨウ素価

2、けん化の速度
初期:材料である苛性ソーダと油脂が多く、反応速度も速いが、混ざり合わないために石鹸が出来ていかない。
中期:材料である苛性ソーダと油脂が混ざり合って石鹸が急激に出来ていく。それに伴い材料濃度が下がっていくため反応速度が落ちていく。
後期:材料である苛性ソーダ、油脂の濃度が下がって反応速度が下がる。石鹸が徐々にできていく。

dx/dt=k(a-X)(b-X)=v

a,bははじめに入れる材料の濃度、Xは石鹸の濃度、tが反応時間。
反応速度vは反応が進むにつれて遅くなっていきます。
けん化を速くするには、
1)温度を高くする
2)トレースまでよくかき混ぜる
3)触媒を入れる
4)けん化の速いオイルを選ぶ
が挙げられます。
◎・鹸化しない油脂を残す石けん(ディスカント)
Q.油脂の10%が鹸化せず残るようにアルカリを配合した場合、未鹸化の油脂として残るのは、鹸化速度の遅い油脂が多くなるのか?
例)オリーブ40%
パーム 30%
ココナッツ 30%
鹸化反応が遅いオリーブが未鹸化として残るのか?

A. 油同士は混ざりやすいので、反応速度による選択性はほとんどないと思います。
原子量:原子の性質で、原子ひとつあたりの重さを6*10の23乗したもの。
分子量:分子のすべての原子の原子量の和。オイルの場合は、炭素の長さにほぼ比例して大きくなる。オレイン酸は分子量282。水は18。ナトリウムは23。苛性ソーダは40。
水の分子。酸素原子1つと水素2つがくの字型に結合している。分子同士も緩く弱い力で結びついている。極性がある。つまり電気的な偏りがあるので、極性があるものを溶かしやすい。つまり油を溶かしづらい。
オイルの分子。オレイン酸などの脂肪酸が3つグリセリンに結合した分子。二重結合がないとほぼ直線的な形をしているが、二重結合があると、そこで折れ曲がった形になる。
1モルという考え方
水18グラムで1モルという単位。オレイン酸282グラムで1モルという単位で、分子の数で等しい。

標準の手作り石鹸の時の分子の数
水180ccなら180グラムで10モル。つまり6*10^24個の分子。
苛性ソーダ70グラムでほぼ1.5モル。9*10^23個の分子。
オイル500グラムでおよそ0.5モル。3*10^23個の分子。
水10個に大して苛性ソーダ1個、オイル3個の割合。

水の中の油の球
水の方が分子は遙かに小さいが、数は10倍多い。おそらく、オイルは分子が集まってオイルの球状の玉になって水の中に浮いている。炭素数が大きいと疎水性が高くより大きな玉になっている。
水の中の苛性ソーダ
水に苛性ソーダは混ざりやすい。ほぼ均一に分布していると思う。

反応速度
最初は、オイルが集まっていて、水と混ざり合わずにいる。オイルの球の水との界面でだけ反応が進む。それは界面でオイルが消費されてオイルの球の真ん中からオイルが拡散してくる。(これはおそらくすごく早い)いっぽう界面でナトリウムが消費されて水ならナトリウムが動いて(拡散して)界面に近づいてくる。(こちらが遅い)
この拡散が反応速度を決めている。
界面で出会ってから両者が結合して石鹸ができる反応速度もあるが、それはおそらく早い。ただし熱の影響を受ける。また、オイルの種類によって異なる。

トレースが出るまで
オイルと水が混ざり合っていない。その状態で石鹸が出来始めて、やがてオイル球が小さくなり、界面面積が増えていく。それに従って石鹸のできていく。反応速度は遅い。

トレース出てから
十分に分子レベルで混ざり合ってから、反応が進む状態。石鹸が10%。つまり0.01モルできているときにトレースが始まる。それ以降、石鹸の固体粒子が互いにつながり始めて流動性が低くなっていく。粘度があがる。やがて90%程度石鹸ができるとほぼ固体になって硬くなる。
トレース後に急激に反応速度が早くなり、一定の速度で90%程度まで進む。
それ以降は、オイルが最初の0.1モルから0,01モルに減って、水10モル、ナトリウム0.01モルになり、反応が進むにつれて反応速度は落ちていく。

乾燥過程
石鹸が90%以上できていると0.9モルの石鹸、0.1モルのオイル10モルの水。ここから水が蒸発して乾燥していく。

撹拌によってなにが起きているか
水の中の油のオイルが細かくなる。または、球が崩れてはまた再結合して混ざり合う。しだいに球が小さくなる。また水中のナトリウムが動きやすくなり、拡散が進み、オイル界面に早く近づき、反応が速まる。

油の中の分子
水中のオイルはおよそ一滴5mgとすると0.00002モル。分子数は十分多い。
やがて1ミクロン程度の球になると一滴1マイクログラムで含まれる分子は1000分の1になる。一方、総表面積は1000倍になる。

炭素数
炭素数が多いと疎水性が高く、オイル球が大きいまま混ざりにくい。

二重結合
二重結合があると、同じオイル球が体積が大きくなる。同じ重さでの表面積が小さくなる。また界面にも並びにくくなる。
できた石鹸の性質
水で柔らかく崩れる性質
疎水性が高い方が水でも硬いまま。

泡立ち
疎水性が低い方が泡立ちがいい。

泡の持続性
泡の持続性はオイルの炭素数が長い方が持続する??

洗浄力
洗浄力はオイルと結合しやすい炭素鎖の長い方。

水への溶けやすさ。
炭素鎖の短い方が溶けやすい。
石鹸の硬さは、なにで決まるか?
1) 石鹸の分子の種類(分子量と二重結合)
2)石鹸の粒子の大きさ(粒子石鹸の育ち方)
3)石鹸の不純物の量(グリセリンの量、過剰油脂の量)

色について

水と色素
pHと色素
油と色素
顔料と染料
トレース反応速度

特徴1、10から20%程度反応が進むまでの時間がトレースが出はじめる時間。
特徴2、トレースのでる時間は温度が高いと早まる。
特徴3、トレースのでる時間が早いオイルがある。

安定反応速度
特徴1、20から90%まで間では反応が安定している。
特徴2、反応速度は一定。
特徴3、反応速度は温度が高いと速くなる。
特徴4、オイルによって反応速度が異なる。
特徴5、トレースが早いオイルは、安定反応速度も速い。

速度に影響を与えるもの
炭素数
二重結合
温度
撹拌
触媒

炭素数で変わるもの
融点
けん化価
反応速度
温度依存性
撹拌依存性

二重結合で変わるもの
融点
ヨウ素価
粘度
反応速度
温度依存性
撹拌依存性

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